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湯治場はもうひとつの我が家

logbook #218 鳴子温泉郷 東鳴子温泉 まるみや旅館





まるみや後1のコピー

温泉といえば、いまの若い世代のワタシ達にとって
”観光”や”レジャー”的な要素が強いのですが
そもそも日本の歴史において温泉とは”湯治”や”療養”のための役割を持って
長い歴史を歩んできたといえるでしょう

今では時代の波に押され、多くの温泉地が観光化していく中で
脈々と湯治の歴史を今に伝える温泉地のひとつが
鳴子温泉郷にある東鳴子温泉です☆

すぐ隣にある鳴子温泉には大型観光ホテルが並ぶのに対し
東鳴子の300m程のメインストリートに
自炊旅館や食堂、お土産屋さんなど
対照的な昭和テイスト情緒たっぷりの雰囲気が味わう事ができます

まるみや前2のコピー

歴史的背景やその役割を見ても
鳴子温泉と東鳴子温泉のコントラストは明確で
鳴子温泉はもともと農業従事者の閑散期の湯治場であったのに対し
東鳴子は漁業従事者の湯治場として賑わってきました

主に岩手から宮城・福島の漁師さんが中心で
エリア的に全ての宿で多かったのが石巻、塩釜、気仙沼、
唐桑、女川、南三陸、東松島
更に各宿ごとに自然と分担が決まっているのも面白いところ

例えば初音旅館では亘理や山元町などの漁師さん
大沼旅館では相馬周辺の人たちとそれぞれ宿ごとに分かれていたそうです

農業と違い海の海産物によって、それぞれOFFシーズンが異なることから
一年を通して湯治客で賑わいを見せてきたといいます

まるみや後14のコピー

まるみや前9のコピー

独特の色を持つ東鳴子温泉の中に
全国の自炊宿ファンから強い支持を受け、マニアが通う自炊宿があります
東鳴子温泉 「自炊の宿 まるみや旅館」☆
メインストリートより山手の方に一本入った裏の路地に建つ
木造二階建ての横に長い旅館です

ワタシ達もほとんどが観光的な旅館やホテルに泊まることが多いので
今回のまるみや旅館が、実は初めての自炊宿宿泊になります
ここは残念ながら”立ち寄り湯”不可
それも療養のために長期滞在するお客さんへの配慮と考えれば納得ですね

まるみや前8のコピー

まるみや前7のコピー

館内には普段見かけることのない自炊場や共同の洗面所など
ワタシ達にとっては新鮮に映るものばかり
部屋にも簡単なシンクとガス台、食器などが用意され
布団もセルフというシステム(自炊宿ではスタンダードなのでしょうね)
何より嬉しいのがチェックイン10:00!
ゆったりと過ごせるのが嬉しい☆
湯治療養はもちろん、鳴子温泉観光や湯めぐりの拠点にもお勧めの宿です

その名宿にこの人あり..!と温泉通の中ではとても有名なのが
まるみや旅館4代目のご主人”きくちゃん”
前評判通り(ネット情報 笑)とても話し好きで笑顔が素敵なきくちゃん
それでいて深く入りすぎず、あくまでも湯治療養しやすい環境作りをされている印象でした

ワタシ達も色々と大変お世話になっている大切な友人です

まるみや前15のコピー
~男女別浴室 "まるみやの湯”~

まるみや旅館の通を唸らせるお湯のひとつが
この男女別浴室の通称”まるみやの湯”
自家源泉まるみや1号、2号使用
冬場は東鳴子の赤湯共有源泉も流し込み温度調整を行っています
独特の緑がかった濁り湯で、湯底に溜まった温泉成分が
味噌汁の様に攪拌されることから通称「味噌汁の湯」として知られています

こちらのお湯は適温でとても肌にしっくりと馴染み
なるほど評価の高さが伺えます
いつまでもお湯に抱かれていたい
そんな幸福感に包まれますよ

まるみや前19のコピー

まるみや旅館のもうひとつの浴室が「混浴大浴場」
”まるみやの湯”の浴槽よりも大きな浴槽は
6~7人入浴可能な大きさ☆

こちらは東鳴子の共有源泉赤湯を使用
温度は...東鳴子特有の激アツ!
足を入れただけで熱湯が苦手なワタシには強敵...
といっても大抵はお湯の表面が熱く、湯底は適温の場合が多いです
こんな時は、焦らず慌てず☆
廊下に出て、きくちゃんの名を呼べば
正義のヒーローの如く
特製の湯かき棒を片手に素早く駆けつけてくれます(笑)
そして月光仮面のおじさんの如く
「ごゆっくり~」と去っていきます

今度はぜひ混浴しましょうね~

まるみや前35のコピー

まるみや前36のコピー

浴室内の壁のデザインや床のタイルなど
なかなかの昭和レトロなセンスが漂います

現在で4代目となる「まるみや旅館」
創業は大正元年 初代湯守 菊地宮乃さんが宿の経営をスタート
名前の”宮”を丸で囲んで、宿名を「丸宮旅館」に

昭和42年の湯治棟の改修の際に有限会社設立
現在の「(有)まるみや旅館」(屋号 元湯自炊まるみや旅館)となり現在に至ります

この混浴大浴場、改装前はひょうたん型のひと回り小さな湯船で
名称も「ネオンの湯」と呼ばれていました
名の通りネオン照明に照らされた浴室は
さぞかし雰囲気抜群だったでしょうね
そして当時の最大の特徴は、なんと!周囲に細長い水槽をめぐらせ
金魚を泳がせていたそうです
アクアリウム!
なんて斬新なアイデア☆
今では昭和レトロのこの宿も、当時は最先端だったのかも(笑)

まるみや前48のコピー

良き昭和の和やかな時代
時には100名ほどの湯治客で賑わっていたと言います
自炊湯治宿という事もあり
もちろん宴会などは基本的にない療養目的の宿ですが
そこは「まるみや旅館」の心意気
湯治客によって”勝手に”浴室前の広い廊下をが即席の宴会場に早変わり
様々な衣装に身を包み、そえぞれの十八番をお披露目するという
立派な演芸ショーが開かれる事もしばしばだったそうです
当時の楽しそうなお客さんたちの顔が目に浮かびますね

これもひとつの大切な療養だったのかもしれません♪

img_0.jpeg

そんな和やかな空気の流れる東鳴子
昭和の終わりの大型ホテル建設の波にもほとんど翻弄されず
独自の文化を守り続けてきました

しかしすべてを変えてしまったのは
2011年に東北を突如襲った東日本大震災
鳴子地区も被害を受けましたが
何より大きな被害を受けたのは、常連客の多くがいる三陸の漁師さんたち
あの日を境に連絡が全く取れなくなってしまった人
毎日を過ごすのに精一杯で湯治に来れなくなってしまった人
その他の不評被害により、一気に客足が減ったと言います

IMG_5931のコピー

「あの頃はいい時代だったな~」と
廊下に飾られた昔の写真を眺めながら話してくれました

その後、追い討ちをかけるように
お父さんが倒れ、最愛の奥様が他界されるなど
大変な数年間だったそうです
現在は寝たきりのお父さんの看病と中学に通う三男さんを見ながら
たったひとりで宿を切り盛りする毎日
相当な苦労だと思います

それでもきくちゃんはいつも笑顔でワタシたちを迎えてくれます

「おたくのお湯があるから
一年中こうして仕事ができるんだよ!」とか
「ほら!こんなに腕が上がるようになったよ~
このお湯のおかげ!」という
湯治客の声を聞くたびに力になるそうです

まるみや後26のコピー

きくちゃんはおっしゃいました

「湯治場はもう一つの我が家です」☆
自宅や実家、別荘などの他に
もう一つ「ただいま!」って帰れる我が家があったら
人生豊かになる
今、僅かに残る湯治宿には 
それが出来る可能性があると思いますと

混浴も自炊も真に必要なものは
必ず時代が拾い上げてくれる
そう信じていると話してくれました

ぜひ皆さんも
一度「まるみや旅館」に足を運んでゆったりとした時間を過ごしてみてください
もうひとつの我が家を持つ
これが本当の贅沢かもしれません
きっといつでもきくちゃんが
「おかえり~」と待っていてくれるはずです

あ!ちなみに
名称のなかった混浴大浴場は本日より名称が決まったそうです
「みうの湯」に決定だそうですよ(笑)
きくちゃん、本当にいいんですね~発表しちゃいましたよ☆

まるみや後41のコピー
~まるみや旅館 みうの湯~


みうたん☆クローバーZの混浴ログ♪

みうたんお気に入り度☆☆☆☆☆

【住所】 宮城県大崎市鳴子温泉字赤湯33-2
【☎︎】 0229-83-3139(留守番電話)
【入浴料】 立ち寄り不可
【入浴時間】
【定休日】 不定休(要確認)

【HP】 自炊の宿 まるみや旅館


参考であり、変更もしくは過去のデータである恐れがありますのでご理解ください

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